本当は仲がいい夫婦は多い

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部屋に入って不穏な空気に気付いたのだろう。
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相手を見ると同じように苦笑している本当はその字が違うんだかあの子知識はあってもそそっかしいからもう一度ふたりはくすりと笑った春の近づきつつあるある日の出来事である。